株主の皆様へ

IR INFO

我が国の経済動向

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和以降、インバウンドの再開や全国旅行支援等の政策効果もあり、緩やかながら景気回復への動きが見られました。しかしながら、円安傾向の継続や資源及びエネルギー価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続いております。世界経済につきましても、ウクライナ情勢の長期化や根強いインフレにより、景気減速に対する懸念が継続しております。

代表取締役社長 野尻 公平
代表取締役社長 野尻 公平

外食産業の動向

外食産業におきましては、度重なる変異株の流行拡大の影響を受けながらも、ウィズコロナ下で経済活動が徐々に正常化に向かうなど全体の需要としては回復傾向にあるものの、コロナ禍を契機にした生活様式の変化によって、大型の宴会需要や深夜時間帯の利用客が大幅に減少しております。また消費者の節約志向や選別志向の高まりに加え、食材の仕入価格の高騰、物流費、光熱費、人件費等のコスト上昇にも悩まされており、厳しい経営環境が続いております。
このような状況の中、当社グループでは事業環境の変化に順応した取組みを強化しております。

店舗施策

店舗施策と致しましては、都心よりも郊外、アルコール利用よりも食事利用の需要回復が早い状況を踏まえて、店舗立地の見直しによる出退店を進め、居酒屋業態店舗のレストラン業態への転換を進めるなど、消費者ニーズに対応した事業ポートフォリオの最適化を図っております。店舗施設に関しましては、清潔感や広い空間を意識した改装を積極的に進め、自動案内システムの設置や配膳ロボットが最大限活用できるレイアウトへの変更、完全キャッシュレス店舗を新たに開発するなど、お客様の体験価値を高めるだけでなく生産性を高める投資を進めております。

営業施策

営業施策と致しましては、インバウンドの需要回復をいち早くキャッチして、国内外の旅行業者と連携することでパッケージツアーにおける食事の場の提供を進めております。また食事利用や小グループ利用への需要シフトを踏まえて、居酒屋業態においても食事メニューを強化すると共に、アルコール関連商品に関して低価格を訴求し、食事と共に気軽に楽しめる居酒屋業態へと転換を図っております。また引き続き従業員の適切な配置転換並びに適正労働時間の算出に基づく、人材の活性化及び人件費の抑制も行っております。

コスト上昇への対応

原材料及び物流費の上昇に対しましては、グループインフラの整備を継続して行っております。昨年10月にはコロワイドMD研究所を設立し、グループ各社の原材料の共通化や規格の統一、食材を起点とした歩留まりの向上を意識したメニュー開発、原材料廃棄ロスの低減等を進めております。また食材配送拠点の集約や配送頻度の最適化にも努めており、更なる物流効率化に向けた取組みを継続的に行っております。

海外事業

海外事業につきましては、いずれの国・地域も当連結会計年度中盤から行動制限や入国制限等の規制緩和が進み、回復基調に転じております。情勢に合わせた販売戦略の効果もあり、多くの地域でコロナ禍前の売上水準に戻ってきております。

店舗の出退店

店舗の出退店につきましては、直営レストラン業態を56店舗及び直営居酒屋業態を2店舗、合計58店舗を新規出店致しました。一方、直営レストラン業態を49店舗、直営居酒屋業態を80店舗、合計129店舗を閉店致しました。その結果、当連結会計年度末の直営店舗数は1,362店舗、FCを含めた総店舗数は2,640店舗となっております。総店舗数に占めるレストラン業態の比率は89.5%、居酒屋業態の比率は10.5%と着実に事業ポートフォリオの最適化を進めております。

2023年3月期の業績について

以上の取組みに加え2024年3月期以降の抜本的な収益改善に向け、一過性の費用として減損損失70億61百万円を計上致しました。
過去数年に亘り店舗等の固定資産に対する減損損失を計上して参りましたが、コロナ禍が沈静化した後の市場環境に対する見通しが、より明瞭になりつつあることを踏まえ、将来的にリスクが生じる恐れがあるものを含め今回処理を行いました。これには事業ポートフォリオの見直し等による、2024年3月期の閉店予定37店舗分も含んでおります。
加えて、当社の連結子会社である㈱レインズインターナショナルにおいて、コロナ禍からの業績回復状況を踏まえ将来的な計画を見直した結果、同社の居酒屋業態に係るのれんに対し7億90百万円の減損損失を計上しております。
このようなことから当連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益が2,208億30百万円、事業損失が1億96百万円となりました。また上述の減損損失を計上したことにより、当期損失が85億79百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失が68億1百万円となりました。
当社グループのセグメント別の売上収益につきましては、㈱コロワイドMD779億38百万円、㈱アトム352億66百万円、㈱レインズインターナショナル875億92百万円、カッパ・クリエイト㈱704億38百万円、㈱大戸屋ホールディングス238億47百万円、その他84億80百万円となっております。
尚、各セグメント別の売上収益は、セグメント間の内部売上収益又は振替高等を考慮しておりません。

今後の見通しと展望

ー事業環境ー

2024年3月期につきましては、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響は徐々に薄れてゆくと見られるものの、引続きウクライナ情勢の長期化や根強いインフレ等による世界経済の減速、物価上昇に伴う消費マインドの停滞等が懸念されております。外食産業におきましては、コロナ禍を経た生活様式の変化や節約志向・選別志向といった消費者ニーズへの対応に加えて、原材料や物流費をはじめとしたコスト上昇への対応を求められており、事業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと予想しております。

ー「COLOWIDE Vision 2030」ー

このような事業環境の中、当社グループは中長期的な企業価値の向上を展望し、新たな成長ビジョン「COLOWIDE Vision 2030」を策定しております。国内外食事業を事業基盤としつつも、市場の拡大が見込まれる海外外食事業、また新規に参入した給食事業の成長を通じて、2030年3月期までに連結売上収益5,000億円の達成を目指し、中長期的な企業価値の向上に努める所存であります。
国内外食事業につきましては、引続きレストラン業態を中心とした新規出店、経年店舗の改装、リロケーションや業態転換に加えて、M&Aによるシェア拡大を目指します。
海外外食事業につきましては、生産年齢人口を主眼として成長余地が大きなマーケットを選択し、焼肉業態及び回転寿司業態を中心に出店を行っていきます。既に展開しているアジア諸国及び北米の事業強化に加え未出店エリアの開拓を模索することで、収益の伸張を図ります。
給食事業につきましては、病院給食及び介護施設給食への参入による事業規模の拡大を展望しており、外食市場での競争により培ったメニュー開発力や高い運営効率、セントラルキッチンを活用したミールキットによる調理効率の向上により、フードサービスカンパニーとしての優位性を活かした展開を行っていきます。
更に社会的な責任を果たして長期に亘って成長を続けるため、サステナビリティの推進にも注力しております。当社として重点的に取組んでゆく5つのマテリアリティ(重要課題)、「地球環境への貢献」「食の安全・安心の提供」「働く仲間の成長と多様性の尊重」「地域・社会への貢献」「経営基盤の強化」に基づいて引続き活動して参ります。

株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。