株主の皆様へ

IR INFO

我が国の経済動向

当連結会計年度における我が国経済は、企業の賃上げの動きを背景に緩やかな景気回復が期待されるも、エネルギーや食料品の価格上昇が収まらず、社会保険料等の高負担も続いているため、消費マインドの回復が遅々として進まない状況にあります。世界経済におきましても、米国における消費減速や新政権による関税政策の影響、中国経済の低迷、欧州や中東での地政学リスクの懸念等により、先行きへの不透明感が続いております。

代表取締役社長 野尻 公平 株式会社コロワイド 代表取締役社長 野尻 公平

外食産業の動向

外食産業におきましては、インバウンド需要の高まりや多くの飲食店における価格改定などによって業績のトップラインは持ち直しております。しかしながら米や野菜、食肉など農畜産物の高騰や慢性的な人手不足によるコスト上昇圧力が続いており、加えて消費者の選別志向・節約志向が更に強まっております。このため付加価値を高めつつも、効率的な運営を進めることが求められております。
このような状況の中、当社グループでは消費者の皆様に選ばれるブランド作りを推進すると共に、企業価値の一層の向上に取り組んでおります。

効率化に向けた施策

効率化に向けた施策としましては、使用する原材料の共通化を出発点にMD研究所において各ブランドの商品開発を進めているほか、ステーキ宮のハンバーグについては、成型を全てグループ工場で行うことによって店舗オペレーションの負荷を軽減させました。また新たに当社グループに加わったデザート事業を手掛ける㈱N Baton Company(2024年10月1日に㈱日本銘菓総本舗から社名変更)や給食事業を手掛ける連結子会社5社につきましては、これまでバラバラだった調達から物流までを、グループシナジーを活かして新たに整備しただけでなく、グループ工場を活用した商品生産も行って効率化を図っております。

営業施策

商品関連の施策としましては、出資先である農業生産法人㈱ベジフルファームとの連携を強化しており、ステーキ宮ではサラダバーを国産のフレッシュ野菜にこだわった品質の高いものへ切り替え、しゃぶしゃぶ温野菜でも機能性野菜の提供を開始しました。またかっぱ寿司では2017年より回転寿司チェーン業界初の食べ放題として話題を呼んでいる『かっぱ寿司の食べホー』の実施を、かっぱ寿司の全店舗の7割近くになる200店舗にまで期間限定で拡大させ、お客様に新たな体験を訴求しております。牛角では食べ放題だけではなくアラカルトでの楽しみ方も提案しており、人気メニューを一皿に盛り合わせ、見た目に華やかな大皿ニューも用意しております。
販売促進及びPRにつきましては、牛角、温野菜、かっぱ寿司、ステーキ宮においてブランドアンバサダーとして引き続き人気タレントを起用したTVCMを放映し、ブランド及び商品の訴求力向上を図っております。また大戸屋では料理研究家“だれウマさん”と共同開発したメニューを全国にて期間限定で販売し、好評を博しました。

サステナビリティ

サステナビリティの取り組みにつきましては、環境情報開示システムを運営する国際的な非営利団体CDPによる2024年度調査の「気候変動」分野において、気候変動に関連するリスクと影響を認識した上で具体的な行動を実践していると評価(Bスコア)され、引き続きベストプラクティスの実践(Aスコア)に向けて取り組んでおります。また経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人」に㈱コロワイドが2年連続で認定されたことに加え、グループ子会社8社(㈱コロワイドMD、㈱アトム、㈱レインズインターナショナル、㈱フレッシュネス、カッパ・クリエイト㈱、㈱大戸屋ホールディングス、㈱大戸屋、㈱ココット)についても同認定を受けており、従業員の健康意識向上と働きやすい職場環境づくりにグループ全体で取り組んでおります。

店舗政策

店舗政策につきましては、まず2024年4月に㈱日本銘菓総本舗(現㈱N Baton Company)を、同年6月にはソシオフードサービス㈱をそれぞれグループに迎えた一方で、㈱アトムにおいて「レストラン事業」へ経営資源を集中させるため、カラオケ事業を2025年3月に㈱シン・コーポレーションへ事業譲渡しました。また国内ではレストラン業態の出店を郊外・ロードサイド・ショッピングセンター中心に進めており、特に牛角がプロデュースするフードコート専門店「牛角焼肉食堂」は60店舗を超え、「とんかつ神楽坂さくら」も40店舗を超える規模に成長しました。海外においては、新規エリアとして開拓中の中東エリアにおいて出店を開始し、既存展開エリアにおいては、インドネシアを中心に牛角や温野菜を出店しました。

店舗の出退店

これらによって直営レストラン業態を新たに84店舗出店した一方で62店舗を閉店し、また直営居酒屋業態は13店舗を閉店しました。この結果、当連結会計年度末の直営店舗数は1,424店舗、FCを含めた総店舗数は2,586店舗となりました。更に今後の一層の成長に向けて、2024年9月には新株発行によるM&A待機資金の調達も実施しております。

2025年3月期の業績について

以上の取組みを進めて参りましたが、当連結会計年度の連結業績につきましては、原材料価格や人件費などの上昇、並びに為替差損の影響もあり、売上収益が2,691億56百万円、事業利益が93億5百万円、当期利益が22億55百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が12億49百万円となりました。当社グループのセグメント別の売上収益につきましては、㈱コロワイドMD961億44百万円、㈱アトム355億4百万円、㈱レインズインターナショナル923億84百万円、カッパ・クリエイト㈱732億9百万円、㈱大戸屋ホールディングス313億85百万円、その他424億76百万円となっております。
尚、各セグメント別の売上収益は、セグメント間の内部売上収益又は振替高等を考慮しておりません。

今後の見通しと展望

2026年3月期につきましては、米国の新政権における高関税政策等の影響や中国経済の低迷、欧州や中東における地政学リスクなどが続くことにより、世界的な景気悪化が懸念されております。我が国におきましては、大企業を中心に賃上げが継続され、中小企業においても賃上げを見込む企業が増加しており、賃金上昇分を販売価格に転嫁する動きが強まると予想されております。外食産業におきましては、引き続きコスト上昇圧力や人手不足により楽観できない状況が続くと予想されており、適切な価格転嫁を進めるために、商品やサービスの魅力を継続的に高めることが必要になると考えられます。
このような状況の中、当社グループは中長期的な企業価値の向上を展望し、中期経営計画「COLOWIDE Vision 2030」に基づいた事業推進に努めております。国内外食事業を基盤としつつも、市場の拡大が見込まれる海外外食事業や本格的に参入を開始した給食事業の成長を通じて、2030年3月期までに連結売上収益5,000億円の達成を目指し、企業価値の向上に努めております。
国内外食事業につきましては、引き続きレストラン業態を中心とした新規出店、経年劣化した店舗の改装、リロケーションや業態転換に加え、M&Aによるシェア拡大を図って参ります。また㈱コロワイドMDを中心にマーチャンダイジング機能を高め、効率化を追求しつつ提供する商品・サービスの付加価値を向上させ、必要に応じて適正な価格転嫁を進めて参ります。
海外外食事業につきましては、新規エリアとして開拓を始めた中東エリアにおいて、2030年3月期までに55店舗体制とすることを目標とし、更に出店を加速して参ります。既に展開しているアジア諸国及び北米においても事業強化を進めており、より一層の拡大を図って参ります。
給食事業につきましては、ヘルスケア施設における事業拡大を進めております。4月1日より当社グループ内で給食事業に携わる会社を㈱ニフス中心の組織に再編し、外食市場での競争によって培ったメニュー開発力や運営能力、グループ工場を活用したミールキットによる調理効率の向上等により、フードサービスカンパニーとしての優位性を活かした展開を図って参ります。更に社会的な責任を果たしつつ長期に亘って成長を続けるため、サステナビリティの推進にも注力しております。重点的に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)、すなわち「地球環境への貢献」「食の安全・安心の提供」「働く仲間の成長と多様性の尊重」「地域・社会への貢献」「経営基盤の強化」に基づき、引き続き積極的に活動して参ります。
株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。